Nocturne Op.20 the posth


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13.10.2014 record
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おばあさんが腰かけて暖炉の前でお話をしてくれた。

 

昔とある地で 長く長い戦いがあった

ある夜 城塞の一室に明かりが灯っていた

窓辺には一人の青年が座り 小さな木箱から 手紙を取り出した

大砲の轟音と空を煙る土埃 散り散りばらばらに突進していく兵士たち

いつの間にか訪れた混乱の世 しかし その古びて色あせた手紙はいつでも同じだった

 

澄み切った秋の空の下

美しいお城の一角から 音楽の調が流れていた

静かな池のほとりから 白い小鳥の群れが水しぶきをあげて飛び立っていった

旅人が はるか彼方の不穏な出来事を語りかけた

かすかによぎった不安は すぐに空想の世界へと消えていった

 

遠い日の夏 草原を幼い男の子と女の子が駆け抜けていった

風が 青く背の高い草を吹きつけ 子どもたちの姿を現しては隠した

笑って戯れる子どもたちの先 微笑む大人たち

髭を口元にたくわえ 長いマントを羽織った紳士

色とりどりのドレスに身を包んだ女性たち 

二人の子どもは喜んでその中へと飛び込んで行った

 

青年は手紙を元に戻す

終わることのない戦い

もう訪れることはない日々

 

遠い  遠い  昔のお話

 

 


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